大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)972 判決

主 文

本件主告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人蟹江明治の上告趣意は末尾添附別紙記載の通りである。

第一点に対する判断。

第一審公判廷における被告人の自白が強要に基くものであるとは単に弁護人がそ

う主張するだけで何等の証跡は無く、又右自白を唯一の証拠として被告人の犯罪事

実を認定したのでもないから、所論は前提を欠くものである。

第二点に対する判断。

所論は原審において主張されず従つて原判決においで判断されなかつた点につい

て第一審判決を攻撃するもので適法な上告理由たり得ないばかりでなく、憲法第三

七条は被告人の申請に係る証人は裁判所が必要無いものと認めた場合でも凡てこれ

を訊問しなければならぬ趣旨ではないから第一審の手続にも憲法違反の点は無い。

(昭和二四年新(れ)第四九二号昭和二五年五月一九日第二小法廷決定昭和二三年

(れ)第八八号同年六月二三日大法廷判決昭和二二年(れ)第二三〇号昭和二三年

七月二九日大法廷判決)。

第三点に対する判断

所論は憲法違反に籍口して実は刑訴法上の手績違背を主張するもので適法な上告

理由たり得ないばかりで無く、第一審においで被告人自らこれに対し異議も述べな

かつたのであるから何等刑訴手績上の違法も無い。

よつて刑訴第四〇八条第一八一条に従つて全裁判官一致の意見で主文のとおり判

決する。

昭和二六年四月一七日

- 1 -

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!